せなか

父の話をします

父は歩くのが好きです。

夕食後に小一時間ほど散歩に行くのが日課で

帰ってきて万歩計の数字を見ては誇らしげに報告するのです。

ゴルフに行った日には歩数が伸びて、それはそれは嬉しそうでした。

ここ十数年は毎日の歩数を記録しては後から見返したり、なんてことも。

どこか旅行に行ってもそれを欠かさずにやっていて、

初めのうちはよくやるな、と思ってたけど

今では元気でいるなら何でもやってくれと思うようになってしまいました。

よくある普通の父と子にしてはあまりにも年の離れた父は

いつも私の祖父と間違えられてました。「可愛いお孫さんですね」って

それでも同世代の人と比べたらずいぶんと元気だったのは

そういうことを続けているかも。

私が幼かった頃、家族で外出すると

いつも私と母は置いていかれました。

父は歩くのが好きなだけでなく、やたらと早かったのです。

まって、まってと後ろから呼んで、

立ち止まっている間になんとか追いつく

なんてこともしょっちゅうで。

口には出さなかったけど

もうちょっとゆっくり歩いてくれてもいいのに

って私も母も思ってました。

中学、高校に通うようになるとだんだんと忙しくなって

気付いたら一緒に歩いてどこかへ、

なんてことはすっかり無くなってしまっていて

こないだ帰省して、久しぶりに外出したんですよ。3人で。

しばらく歩いてると父の姿が見えないんですね。

母と2人でどこ行ったんだろ、みたいなことを話してると

後ろから現れたんです。

まあ、薄々は気付いてたんですけど。やっぱりやだなって。

年を重ねるのは怖い、とか嫌だ、とかいろいろ聞きますけど

実際年をとったらどうなるんだろうって

なかなか想像出来なくて。

昨日出来たことが、今日出来なくなるかもって思うと

確かに憂鬱かも知れませんね。

そんなもんじゃない、想像よりずっと怖いかもしれない。

それでも歩こうと思える、しかも歩けるうちに

いっぱい歩きたいなって思います。

もうちょい歩いときゃよかったなんてイヤです。

照明、映像、web 大内朗宏

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劇団綺畸2018年度新人公演

『めまい』

作・演出　土田高太朗 

3/16(土) 19:00

17(日) 14:00/19:00

於 駒場小空間

予約制・無料（カンパ制）

全席自由席

予約フォーム(大内扱い)↓

https://www.quartet-online.net/ticket/kiki2018s hinko?m=0kdiecd

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